環境理工学部の30年
環境理工学部は,拡大する環境問題に対処し,自然と人間が調和した豊かで快適な環境の創造に貢献する人材の養成を目的として,「環境」を教育研究の柱とする国立大学では最初の学部として平成6(1994)年10月に設置されました。翌年4月に1期生を迎えて以来,4226人が入学し,創立30年となる令和6(2024)年3月までに4043人が卒業しました。この間,平成19(2007)年には,当時アジアで唯一のユネスコチェアが岡山大学に設置され,本学部の阿部宏史教授がチェアホルダー(責任者)を務め,国内外の高等教育機関と連携し,ESD(Education for Sustainable Development)活動を中心的に推進しました。その後も,本学部の特色でもある実践型環境教育を充実・発展させるなど,環境理工学部は本学のESD活動を牽引してきました。
岡山大学は,令和元(2019)年に公表した岡山大学ビジョン2.0の中で,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として掲げられたSDGs(Sustainable Development Goals)を本学全体で取り組むべき課題と位置付けました。環境理工学部がこれまで担ってきた環境教育をESDからSDGsに発展させようとしていた時期でもあったため,岡山大学は環境理工学部と工学部をひとつの学部にまとめることで,分野横断的な取り組みをさらに拡大し,新学部を中心としてSDGsの達成を目指すことにしました。これにより,令和3(2021)年4月に環境理工学部と工学部は再編統合され,新工学部が設置されました。環境理工学部の学生募集は停止され,令和2(2020)年4月に最後の入学生を迎え,その学生のほとんどが令和6(2024)年3月に卒業しました。
令和6年10月には,創立30年を記念し,記念誌を発刊するとともに,記念式典,祝賀会を開催しました。祝賀会では,那須学長から「環境理工学部には,その設立の理念を新しい工学部に継承しながら(不易),主体的に変容し続ける先駆者として人類社会の持続的発展に引き続き貢献していただきたい(流行)」との祝辞を賜りました。この言葉を胸に刻み,学部同窓生の皆さまと共に,新たな30年に向けた第一歩を踏み出したところです。
環境理工学部の30年の歴史を多くの皆さまと共有するために,この度30周年記念誌を再編集し,30年史を作成いたしました。環境理工学部の同窓生,関係教職員以外の皆さまにもご覧いただくことで,環境理工学部について知っていただく機会になれば幸いです。
令和7年3月
環境理工学部長 難波 徳郎
★作成しました30年史は、以下のリンクをご覧ください。