工学部長からのメッセージ
工学部長 高橋規一
2030年のその先に向かって
Toward 2030 and Beyond
岡山大学工学部は、従来の工学部と環境理工学部の再編統合により2021年4月に誕生し、2025年3月に最初の卒業生を送り出しました。Society 5.0の実現を通してSDGsの達成に貢献するという目標を掲げ、「幅広い視野をもち、社会課題を発見・把握し、主体的に解決できる創造的な工学系人材」を養成する教育は、確実に実を結びつつあります。
工学部の教育の特徴の一つは1学科制の導入です。これにより、従来の学科の枠にとらわれない分野横断的な学びを促します。革新的な技術やアイデアによって新たな価値を生み出すには、専門分野や考え方の異なる多様な人材が、個々の特性を活かして協調することが重要です。分野横断的な学びを通して、自身の専門分野以外にも興味をもち、多様な考え方を受け入れることのできる人材を育成します。その他の特徴として、建築教育プログラムの新設と、情報科学および数理データサイエンスの教育の拡充が挙げられます。2023年1月には隈研吾先生監修の木造建築「共育共創コモンズ」が完成し、工学部のシンボルとして講義や各種イベントで利用されています。2024年4月には情報工学先進コースが設置され、入学後の早い段階から大学院修了まで6年間一貫で情報分野を学ぶ新たな教育プログラムが始動しました。工学部自身も、新たな価値を生み出すべく進化を続けています。
SDGsの達成期限は2030年であり、残された時間は長くありません。国連の最新の報告によると「軌道に乗っているターゲットは5分の1に満たず、世界はSDGsの約束を果たせなくなりつつある」そうです。工学は社会に役立つモノや技術を作り出す学問です。持続可能な社会の実現に向けて、工学の果たすべき役割は無限といっても過言ではありません。岡山大学工学部は、SDGsはもちろんのこと、2030年のその先を見据え、持続可能な社会の実現に必要なイノベーションを創出して国内外や地域で活躍する技術者と研究者を育成します。
工学部長 高橋規一